【Tplus株式会社が教える】「人気順」表示と評判スコアの設計方法

飲食店、美容室、宿泊施設、医療機関、不動産会社などを比較するポータルサイトでは、「人気順」「おすすめ順」「評価順」といった並び替え機能が、ユーザーの店舗選びに大きく関わります。

しかし、ポータルサイトの人気順を単純なクチコミ平均点だけで決めてしまうと、「クチコミ2件で平均5.0の店舗」が「クチコミ300件で平均4.8の店舗」より上位になるなど、実態とは異なる印象を与える可能性があります。

そのため、信頼できるポータルサイトを設計するには、クチコミ評価だけでなく、クチコミ件数、投稿時期、評価の安定性、不正投稿の可能性などを総合的に考えることが重要です。

本記事では、ポータルサイトの「人気順」がどのような要素で設計できるのか、公平な評判スコアを作るには何を考慮すべきか、さらにそのスコアを店舗選びや集客につなげる方法まで解説します。

ポータルサイトの「人気順」はどのように決まる?評判スコアの基本構造

結論からいえば、ポータルサイトの「人気順」に共通する唯一の計算方法はありません。各ポータルサイトが独自の目的やデータに基づき、複数の要素を組み合わせてランキングを設計しています。

代表例としてTripadvisorは、人気ランキングについて「クチコミの評価」「投稿時期」「件数」に加え、一定期間にわたる評価の一貫性を基準としていることを公開しています。最近のクチコミは古いクチコミより現在の体験を反映しやすいとして、ランキング上でより重視しています。また、単純にクチコミ件数が多ければ上位になるのではなく、統計的に十分な情報が蓄積されているかという観点も示しています。

Booking.comにも同様の考え方があります。「Best reviewed」の並び順では評価点だけではなくレビュー件数による信頼性も考慮しており、公式説明では「1,000件で平均8.2」の施設が「5件で平均8.3」の施設より上に表示される場合があるとしています。

つまり、ポータルサイトの評判スコアは、次のような情報を組み合わせて考える必要があります。

評判スコアの要素役割設計時のポイント
クチコミ平均評価利用者満足度を示す平均点だけで順位を決めない
クチコミ件数評価の信頼性を補強する少数レビューの過大評価を防ぐ
クチコミの新しさ現在のサービス品質を反映する古い評価の影響を徐々に下げる
評価の安定性継続して支持されているかを見る一時的な高評価だけを優遇しない
利用・予約実績実際の人気度を補足する業種に応じて採用を判断する
不正投稿判定スコア操作を防止する異常投稿を除外・保留する
情報の充実度比較しやすさを高める評判と混同せず別指標にする

ここで重要なのは、「人気」と「評判」を完全に同じものとして扱わないことです。

例えば、閲覧数が多い店舗は「注目度」は高いものの、サービスへの満足度が高いとは限りません。逆に、クチコミ評価が高くても利用者数が極端に少ない場合、その評価だけで「地域で最も人気」と表現することには慎重さが必要です。

したがってポータルサイトでは、「評判スコア」「閲覧ランキング」「予約ランキング」などを必要に応じて分けると、ユーザーが順位の意味を理解しやすくなります。

クチコミ件数と評価点だけに偏らない公平な評判スコアの設計方法

ポータルサイトの評判スコアを公平にするためには、「平均4.8だから4.5より必ず上」という単純な設計を避けることが重要です。

特に問題になるのが、クチコミ件数の少ない店舗です。

評価が1件だけで星5の店舗と、300件のクチコミで平均4.7を維持している店舗を比較した場合、単純平均では前者が上になります。しかし、1件だけの評価には偶然性が大きく、今後も同じ評価が続くか判断するための情報が十分とはいえません。

ランキング設計について広く引用されているEvan Millerの解説でも、単純な平均値だけで順位を決める問題が指摘されています。例えば、肯定的評価2件・否定的評価0件の商品と、肯定的評価100件・否定的評価1件の商品では、単純な肯定率だけなら前者が上位になります。そこで、評価割合だけでなく標本数による不確実性も考慮するWilson Scoreなどの方法が紹介されています。

5段階評価を扱うポータルサイトであれば、「ベイズ平均」に近い考え方を取り入れることも一案です。

例えば、

調整後スコア
=(店舗の評価件数 × 店舗平均点 + 基準件数 × ポータルサイト全体平均点)
÷(店舗の評価件数 + 基準件数)

という形です。

仮にポータルサイト全体の平均が4.0、基準件数を20件と設定した場合、クチコミ1件だけで5.0を獲得した店舗の調整後スコアは約4.05になります。一方、多数のクチコミで4.7を維持している店舗は、調整後スコアも4.7に近づきます。

これによって、新規店舗を完全に排除せず、少数のクチコミだけでランキング最上位になる現象を抑えられます。

さらに「新しさ」も重要です。

Booking.comは現在、レビュー総合スコアの計算において、より新しいレビューの影響を大きくする加重方式を採用していると説明しています。Tripadvisorも最近のクチコミを古いクチコミより重視すると明記しています。

ポータルサイトを独自開発する場合も、例えば「直近6か月」「6か月~1年」「1年以上」のように期間を分け、古いクチコミの重みを徐々に下げる方法が考えられます。ただし、具体的な期間や係数には業種差があります。飲食店や美容室のようにスタッフやサービスが変化しやすい業種と、商品そのものを評価するECサイトでは、適切な減衰期間は異なります。

そして、どれほど高度な計算式を導入しても、不正なクチコミが大量に混入すれば評判スコアの信頼性は低下します。

Googleマップでは、実際の体験に基づかない投稿、金銭や商品などと引き換えに行われる評価、複数アカウントを使った評価操作などを「Fake engagement」として禁止しています。

独自ポータルサイトでも、短期間に同一店舗へ大量投稿が発生していないか、同一端末・IPなどから不自然な投稿がないか、投稿者に実際の予約・購入履歴があるかといった不正検知を組み合わせることで、評判スコアそのものの信頼性を守る必要があります。

人気順・評判スコアをユーザーの店舗選びと集客につなげる運用方法

ポータルサイトの評判スコアは、計算精度だけではなく「ユーザーが意味を理解できるか」が重要です。

例えば「人気スコア92点」とだけ表示されても、ユーザーには92点の根拠が分かりません。

そこで、

「クチコミ評価4.7/5.0」
「クチコミ238件」
「直近3か月の評価4.8」
「予約利用者による確認済みクチコミ185件」

など、ランキングの根拠となる情報を分解して見せると、ユーザー自身が判断できます。

ポータルサイト運営では、ランキングそのものを「正解」として提示するより、ユーザーの比較を支援する情報として設計することが重要です。

例えば、次のような分類が考えられます。

「人気順」=評価・件数・新しさなどを総合した順位
「評価順」=評判スコアを中心にした順位
「クチコミ数順」=投稿件数による順位
「新着クチコミ順」=最近の利用体験を確認するための順位
「予約数順」=実際の予約実績による順位

このように検索意図ごとに並び替えを用意すれば、「評価が高い店舗を探したい人」と「多くの人が利用している店舗を探したい人」の双方に対応できます。

また、ポータルサイト側が有料掲載店舗を優先表示する場合には、通常の人気ランキングと広告枠を明確に区別することも重要です。

日本では、広告であるにもかかわらず広告だと消費者が判別しにくいステルスマーケティングが、2023年10月1日から景品表示法の規制対象になっています。消費者庁は、消費者が商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることを制度の目的として説明しています。

そのため、掲載料金によって上位表示される枠を設けるのであれば、「広告」「PR」「スポンサー」などを分かりやすく表示し、純粋なクチコミ評価による人気順と混同させない設計が望まれます。

店舗側にとっても透明なスコア設計にはメリットがあります。

何を改善すれば評価につながるのか分かれば、「大量のクチコミを集めれば順位が上がる」という短期的な施策ではなく、顧客満足度を改善し、継続的に新しいクチコミを獲得する方向へ行動を促せます。

ポータルサイトの人気順は、店舗同士を競わせるためだけの機能ではありません。ユーザーが自分に合った店舗を選びやすくし、良いサービスを提供している店舗が正当に評価される環境をつくることが、長期的なポータルサイトの信頼につながります。

まとめ|公平な人気順には「評価・件数・新しさ・信頼性」の設計が必要

ポータルサイトの「人気順」を設計する際、クチコミの平均評価だけで順位を決める方法は分かりやすい一方、クチコミ件数の少ない店舗が過大評価されるなどの問題が生じます。

そのため、評判スコアでは「平均評価」「クチコミ件数」「投稿時期」「評価の安定性」「不正投稿の除外」といった複数の要素を組み合わせることが重要です。実際にTripadvisorは評価・件数・投稿時期・一貫性をランキング要素として公開しており、Booking.comも評価点だけでなくレビュー件数による信頼性や、新しいレビューをより重視する仕組みを採用しています。

Tplus株式会社では、ポータルサイトの評判スコアを「順位を作るための数字」ではなく、「ユーザーが安心して店舗を比較するための情報」として設計することをおすすめします。

まずは現在の人気順について、「クチコミ1件の5.0と100件の4.8をどう扱うか」「3年前と今月のクチコミを同じ重さにするか」「広告掲載と人気順を分けているか」の3点を確認するところから始めるとよいでしょう。

引用・参考URL

Tripadvisor
「トリップアドバイザーの人気ランキングについて知っておくべきこと」
https://www.tripadvisor.com/business/ja-jp/insights/resources/tripadvisor-popularity-ranking

Tripadvisor
「Everything You Need to Know About the Tripadvisor Popularity Ranking」
https://www.tripadvisor.com/business/en-gb/insights/resources/tripadvisor-popularity-ranking

Booking.com
「How we work」
https://www.booking.com/content/how_we_work.en-gb.html

Booking.com
「How guest reviews work」
https://www.booking.com/reviews_guidelines.en-gb.html

Google Maps User Contributed Content Policy
「Fake engagement」
https://support.google.com/contributionpolicy/answer/11414422

Google Maps User Contributed Content Policy
「Prohibited and restricted content」
https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114

消費者庁
「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/

Evan Miller
「How Not To Sort By Average Rating」
https://www.evanmiller.org/how-not-to-sort-by-average-rating.html

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