飲食店、美容サロン、治療院、宿泊施設、士業事務所などを探す際、多くの利用者はポータルサイトに掲載されている店舗情報やクチコミを比較しています。ポータルサイトは、店舗の存在を知ってもらうための掲載媒体であると同時に、第三者からの評判を確認する場所でもあります。
そのため、ポータルサイトを活用した集客では、単に店舗情報を掲載するだけでは十分ではありません。掲載情報と実際のサービスに差があると、利用者の期待を裏切り、悪い評判が生まれる原因になります。反対に、ポータルサイトで伝えた内容と実際の顧客体験が一致していれば、満足度が高まり、自然なクチコミや良い評判につながります。
重要なのは、良い評判を無理に集めることではなく、利用者が自分の意思で感想を投稿したくなる環境を整えることです。本記事では、ポータルサイトとクチコミ・評判の関係性を踏まえ、良い評判を継続的に増やすための仕組みづくりを解説します。
ポータルサイトで良い評判が増える店舗・企業に共通する情報設計
ポータルサイトで良い評判を増やすためには、最初に掲載情報の正確性と具体性を整える必要があります。利用者は、ポータルサイトに掲載されている写真、料金、営業時間、サービス内容、アクセス方法、予約条件などを見て、来店するかどうかを判断します。
店舗側が魅力を伝えようとして、実際よりも広く見える写真を使ったり、提供していないサービスを掲載したりすると、来店前の期待値が必要以上に高くなります。その結果、サービス自体に大きな問題がなくても、「ポータルサイトで見た印象と違った」という不満が生まれ、悪い評判につながる可能性があります。
良い評判が増える店舗や企業は、ポータルサイトを単なる広告枠としてではなく、来店前の認識を整えるための情報ページとして活用しています。例えば、料金を掲載する際には、金額だけでなく、サービスに含まれる内容、所要時間、追加料金の有無、対象となる利用者まで記載します。予約制であれば、当日予約の可否、キャンセル条件、遅刻した場合の対応なども明確にしておくことが大切です。
写真についても、きれいなイメージ画像だけでなく、実際の外観、入口、店内、スタッフ、商品、施術スペース、駐車場などを掲載します。初めて訪れる人が「どこから入ればよいのか」「どのような雰囲気なのか」を事前に確認できれば、来店時の不安を減らせます。
また、公式サイト、Googleビジネスプロフィール、SNS、複数のポータルサイトに掲載している場合は、店舗名、住所、電話番号、営業時間、定休日、料金などを統一しなければなりません。ポータルサイトによって異なる情報が掲載されていると、利用者はどの情報が正しいのか判断できず、店舗への信頼を失う可能性があります。
ポータルサイトの情報設計では、「店舗が伝えたいこと」よりも「利用者が来店前に知りたいこと」を優先するべきです。よくある質問や不安を先回りして掲載することで、利用者は自分に合った店舗かどうかを判断しやすくなります。
良い評判は、魅力的な表現だけで生まれるものではありません。正確な情報によって適切な期待をつくり、その期待に沿ったサービスを提供することが、ポータルサイトで良い評判を増やす第一歩です。
クチコミを書きたくなる顧客体験と自然な投稿導線のつくり方
ポータルサイトにクチコミ機能があっても、利用者が必ず感想を投稿してくれるとは限りません。サービスに満足していても、投稿方法が分からない、文章を考えるのが面倒、投稿するきっかけがないといった理由で、クチコミを書かずに終わる人もいます。
そのため、良い評判を自然に増やすには、クチコミを書きたくなる顧客体験と、迷わず投稿できる導線の両方を整える必要があります。
まず大切なのは、顧客が人に伝えたくなる体験をつくることです。特別に高価なプレゼントを用意する必要はありません。問い合わせへの返信が早い、来店時の案内が丁寧、説明が分かりやすい、要望を覚えている、会計が明確といった一つひとつの対応が、店舗への良い評判を形成します。
特に、顧客が不安を抱きやすい場面で丁寧に対応すると、印象に残りやすくなります。初回来店時に利用の流れを説明する、施術や作業の前に料金を確認する、商品を渡す際に使用方法を案内するなど、顧客の立場に立った対応がクチコミのきっかけになります。
次に、顧客が満足を感じているタイミングで、自然にクチコミを案内します。商品やサービスの提供直後、問題が解決したとき、お礼のメッセージを送るときなどに、「今後のサービス改善のため、率直なご感想をお寄せいただけますと幸いです」と伝える方法が考えられます。
ポータルサイトのクチコミ投稿ページへ直接移動できるQRコードやURLを用意することも有効です。ただし、ポータルサイトごとにクチコミ依頼に関する規約が異なるため、利用しているポータルサイトのルールを事前に確認しなければなりません。
Googleは、クチコミ投稿用のリンクやQRコードを利用して、顧客へ投稿を依頼できると案内しています。一方で、金銭、割引、無料の商品やサービスなどのインセンティブと引き換えにクチコミを求める行為や、肯定的なクチコミだけを選んで依頼する行為などは禁止しています。
また、「星5で投稿してください」「良かったと書いてください」「このキーワードを入れてください」と内容を指定する依頼も避けるべきです。消費者庁のQ&Aでは、「星5」を条件としてクチコミ投稿を求めた場合、事業者が投稿内容の決定に関与していると判断される可能性が示されています。
2023年10月1日からは、広告であることを隠したステルスマーケティングが景品表示法の規制対象となっています。事業者が第三者の投稿内容に関与しているにもかかわらず、その関係が分からない状態で掲載すると、消費者の判断を誤らせるおそれがあります。
良い評判を自然に増やすために必要なのは、評価を操作することではありません。満足した顧客だけを選ぶのではなく、実際に利用した顧客へ公平に案内し、良い意見も厳しい意見も含めて率直な感想を受け取る姿勢が重要です。
集まった良い評判を信頼と集客につなげる継続的な運用方法
ポータルサイトに良い評判が集まっても、そのまま放置していては十分な効果を得られません。クチコミは集めることが目的ではなく、顧客の声をサービス改善と集客につなげるための情報です。
まず、ポータルサイトにクチコミが投稿されたら、可能な範囲で返信を行います。良い評判には感謝を伝え、顧客が評価してくれたポイントに簡潔に触れます。例えば、「スタッフの説明についてお褒めいただき、ありがとうございます」「店内の雰囲気を気に入っていただけたとのこと、大変うれしく思います」と返信すれば、クチコミを確認している姿勢が伝わります。
否定的な評判に対しては、感情的に反論してはいけません。まずは不快な思いをさせたことについて受け止め、事実関係を確認したうえで、改善方針や個別相談の窓口を案内します。クチコミの内容に心当たりがない場合でも、公開された返信欄で顧客を責めたり、個人情報を明かしたりする対応は避けるべきです。
Googleも、肯定的なクチコミだけでなく、否定的なクチコミを含む正直で客観的な意見が、見込み顧客にとって役立つ情報になると説明しています。また、クチコミに返信することは、顧客からのフィードバックを重視している姿勢を示す方法として案内されています。
重要なのは、悪い評判を削除することだけに集中するのではなく、同じ不満を繰り返さない仕組みをつくることです。「待ち時間が長い」という意見が複数ある場合は、予約枠や受付方法を見直します。「料金が分かりにくい」という評判がある場合は、ポータルサイトの料金表示や店頭説明を改善します。
クチコミを月ごとに確認し、評価された点、不満が生じた点、よく使われる言葉を整理すると、顧客が店舗のどこに価値を感じているのかが分かります。その情報をポータルサイトの紹介文、サービス説明、よくある質問などへ反映すれば、利用者が求める情報をより正確に伝えられます。
ただし、クチコミを引用してポータルサイトや公式サイトへ掲載する場合は、個人が特定される情報を不用意に転載しないよう注意が必要です。利用しているポータルサイトの利用規約や転載条件を確認し、必要に応じて投稿者の許可を得ることも検討します。
さらに、ポータルサイトの運用では、クチコミ件数や平均評価だけでなく、その後の問い合わせ数、予約数、来店数、再来店率も確認する必要があります。良い評判が増えていても、店舗情報が古かったり、予約ボタンが分かりにくかったりすると、問い合わせにはつながりません。
ポータルサイト上で良い評判を見た利用者が、迷わず予約や問い合わせへ進めるよう、電話、予約フォーム、公式サイト、地図などの導線を整えましょう。良い評判、正確な掲載情報、分かりやすい予約導線がそろうことで、ポータルサイトは単なる紹介ページではなく、継続的な集客経路になります。
まとめ
ポータルサイトで良い評判を自然に増やすには、クチコミ投稿だけを切り離して考えてはいけません。掲載情報、来店前の期待、実際の顧客体験、投稿導線、返信対応、サービス改善までを一つの流れとして設計することが重要です。
最初に、ポータルサイトに掲載している店舗名、住所、電話番号、営業時間、料金、サービス内容、写真などを確認します。情報が古い場合や、実際のサービスと異なる場合は早急に修正し、利用者が誤解しない状態をつくります。
次に、顧客が良い評判を伝えたくなる体験を整えます。丁寧な接客、明確な料金説明、迅速な対応、利用後のフォローなど、基本的な顧客対応を安定させることが、良い評判の土台になります。
クチコミを依頼する際は、実際の利用者へ公平に案内し、評価や投稿内容を指定しないことが大切です。特典によって高評価を求めたり、良い評判だけを選んで集めたりする方法は、ポータルサイトの規約違反や信頼低下につながるおそれがあります。
投稿されたクチコミには丁寧に返信し、顧客の意見を店舗運営へ反映します。良い評判は店舗の強みを知る材料になり、厳しい評判は改善すべき課題を見つける材料になります。
私たちは、良い評判は「集めるもの」というよりも、「日々の運営から生まれるもの」だと考えます。クチコミ件数や評価点だけを追うのではなく、顧客に誠実なサービスを提供し、その体験をポータルサイト上で正しく共有できる仕組みをつくることが重要です。
正確な店舗情報、満足度の高い顧客体験、自然なクチコミ投稿、誠実な返信を継続すれば、ポータルサイト上の評判は少しずつ蓄積されます。その評判が新しい顧客の安心材料となり、問い合わせや来店、再利用、さらなるクチコミへとつながる好循環を生み出します。
引用・参考URL
Google「クチコミを増やすためのヒント」
https://support.google.com/business/answer/3474122?hl=ja
Google「禁止または制限されているコンテンツ」
https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114?hl=ja
消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/
消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
米国連邦取引委員会「Soliciting and Paying for Online Reviews: A Guide for Marketers」
https://www.ftc.gov/business-guidance/resources/soliciting-paying-online-reviews-guide-marketers
米国連邦取引委員会「The Consumer Reviews and Testimonials Rule: Questions and Answers」
https://www.ftc.gov/business-guidance/resources/consumer-reviews-testimonials-rule-questions-answers
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